「マンションのおばちゃん」

 

 たいていのマンションの地下は駐車場や駐輪場となっていることが多い。

 

 僕も自転車を早速駐輪場に停めに行った。

 

 地下には管理人らしいおばちゃんが居た。

 

僕の事を、じろじろと見ていたので、僕は、手を振りながら、愛想良く挨拶&笑顔をかました。

 

おばちゃんも硬い笑顔で応えてくれた。

 

この自転車は僕のやで、とアポールしながら、僕はその辺に自転車を適当に停めた。

 

中国では盗難が大変多いので、ちゃんと監視してくれてるんやなぁ、と感謝しつつ・・・・

 

 

数日後、仕事が終わり、いつものように地下に自転車を停めに行った。

 

いつものおばちゃんと、旦那さんらしき、がたいのいいおっちゃんの二人が居た。

 

僕はいつものように愛想良く挨拶&笑顔をかましながら、いつもの場所に自転車を停ようとした時、がたいの

 

いいおっちゃんが近づいてきて、こっちにむかって何やらわまいている。

 

よくよく聞いてみると、上海語らしいので、

 

「上海人じゃないので、上海語は出来ない。」と、中国語(北京語)で言うと、

 

今後は中国語で、わまきだした。

 

かなり興奮している。何を言っているのか全然わからん。

 

「もっとゆっくり話して下さい。」

 

お決まりのフレーズで、お願いしたが、スピードは遅くなるどころか、ますます早くなる・・・・・

 

ちゃんとしたマンションの住民で、901号室に住んでいる、怪しい者じゃない、これは俺の自転車で、他人

 

のを盗ったわけじゃい等々言っても、駄目だった・・・

 

一体どうすればいいのか・・・・

 

そうこうしているうちに汚い管理人事務所に連れていかれた。

 

 紙を取り出し、書いてくれた。

 

 要は、ここは有料なので、ちゃんとお金を払え。今まで勝手に停めやがって、という事であった。

 

 料金は1ケ月で15元だった。

 

 

 僕も直ぐに謝り、お金を払った。

 

 その瞬間、おっちゃんは当然笑顔となり、いきなりフレンドリーになってきた。

 

 なんて現金な奴、とも思ったが、僕も負けじと、いつも以上のフレンドリーさで応え、かなり和気あいあい。

 

 

それ以降は、お互いがかなり仲良くなり、僕自身も、このおっちゃんとおばちゃんに会うのが楽しみとなった。

 

そうこうしている間に、日本に一時帰国する。

 

帰国前に、おばちゃんに弟が来ることを伝え、宜しく頼むと言い残し・・・

 

 

入れ替わりで中国に行った弟が、中国人スタッフとともに、マンションの地下駐輪場に行き、

 

「日本人の停めてる自転車はどこ?」

 

「うちのマンションには日本人は居ない!」

 

「いやいや日本人で、901号室に住んでいる。」

 

「そいつは日本人じゃなくて、台湾人や。」

 

「はぁ??」

 

「その台湾人の自転車はどこ?」

 

「これが台湾人の自転車や。」

 

それは、確かに僕の自転車だった。

 

 

え〜!!!!

 

台湾人?

 

何故、僕が台湾人?

 

たしかに日本人とは言ってないし、「お前、どこの出身?」とも聞かれんかったけど・・・

 

台湾人やったら、ちゃんと中国語(北京語)話せるやろ。

 

わしの場合、最後は筆談やってんで。

 

一体なにをどう誤解したのか???

 

 

この事は、さんざん日本でも中国でも会社でネタにされたが、僕と、おっちゃん&おばちゃんとの友情は

 

変わらなかった。