共和ゴム株式会社

English

中国語

お気軽にお問い合わせください072-855-1039

スタッフコラムstaff column

ゴムの長期性能試験について

本日は、よくお問い合わせがあるゴムの長期性能試験について説明いたします。

長期性能試験の代表的な考え方として、
アレニウスの法則』というものがあります。

「アレニウスの定義」「アレニウスの式」「アレニウスプロット」「10℃ 2倍則」「10℃半減則」などとも言われております。

簡単に言えば、
「気温が10℃上昇すると、劣化のスピードが2倍になる」という考え方です。

ゴム、プラスチック、スポンジ、接着剤などの有機材料だけではなく、電解コンデンサなど幅広い分野においても、この「アレニウスの法則」に基づいて製品の長期劣化試験を行っております。

 

「常温20℃で40年間が経過すると、ゴムがどのくらい劣化するか・・・?」

この結果を調べたい場合、常温20℃で40年間放置しておくことは時間的な制約もありほぼ不可能なので、
このアレニウスの法則を用いて加速試験の条件を導きだします。

20℃で40年間
30℃で20年間
40℃で10年間
50℃で5年間
60℃で2.5年間(912.5日間)
70℃で1.25年間(456.25日間)
80℃で228.125日間
90℃で約114日間
100℃で約57日間・・・・・

恒温恒湿槽の温度を100℃に設定し、その中に試験体(ゴム製品、プラスチック製品など)を約57日間入れておくと、常温20℃で40年間が経過した状態と、ほぼ同じ状態に劣化した試験体が手に入ります。

恒温恒湿槽

これが恒温恒湿槽です。

 

恒温恒湿槽

当社には恒温恒湿槽が2台あります。

恒温恒湿槽で劣化させた試験体を使い、硬度、引張強度、伸び、引裂強度などを測定し、元々のゴムと比較してどのくらい劣化しているのかで劣化度合いが確認できます。

また試験体としてゴム製品そのものを恒温恒湿槽に入れて劣化させた後で、そのゴム製品自体を用いて、完成品にした上で性能試験を行う場合もあります。
弱電メーカーや自動車メーカーはこのような試験を多く行っているそうです。

当社製品であるボルトナット防錆キャップ『まもるくん』のカタログ資料の中にも次のような記載があります。

ボルトナット防錆キャップ「まもるくん」の防水パッキン(材質:EPDM)についてもこの考え方を用いて長期性能試験をしております。

恒温恒湿槽の温度設定を115℃とし、342時間掛けて加速試験を行いました。
その劣化させた防水パッキンを使い、製品に装着し、水密性試験(IPX7)を行い、性能を確認しております。また外観においても、ひび割れも無いことを確認しております。

ただ全く劣化していない訳ではなく、硬度については当初40°だった硬度が、加速試験後は硬度50°となってました。

これはゴムに配合されてる可塑剤が時間経過とともに徐々に抜けていき、劣化に伴い硬度が上がっている事となります。

このようにアレニウスの法則に基づいた試験条件で、恒温恒湿槽を使い加速試験を行う事で、劣化させた試験片を使い、実機で試験をすることで、長期性能試験を行っております。

ボルトナット防錆キャップ「まもるくん」の場合は、
115℃×342時間の加速試験条件だったので、気温25℃×20年相当となり、「常温(20℃ではなく少し余裕を見て25℃に設定)で20年間相当でも性能はちゃんと確認できております。」と言っております。

あくまでも目安ですが、ゴム、プラスチック業界では、当たり前のように、このアレニウスの法則が使われておりますので、参考としていただければ幸いです。

 

 

コラムリストnews