ゴム材料は「材質名」だけで選んでいませんか?
ゴム材料を「天然ゴム(NR)」や「EPDM」といった材質名だけで選んでいませんか?
実は同じ材質名でも、配合設計や硬度によって物性は大きく変わるのです。
本記事では、SBRやEPDMなどの代表的なゴム材料を比較しながら、高性能ゴム材料を選ぶための配合設計の考え方を、ゴムの専門家がわかりやすく解説します。
一般的なゴム物性表記とその落とし穴
業界資料では、天然ゴム(NR)は「機械的物性が非常に優れている」、SBRは「カーボンブラックで補強され、優れている」とされていることが多く、EPDMはそれらに劣ると評価されることもあります。
例えば引裂き強さでは「NR◎、SBR〇、EPDM△」、耐熱老化性では「NR△、SBR〇、EPDM〇」などと記載されています。
当社の 原料ゴム特性表 においても、同様の表記を掲載しています。
しかし、これはあくまで目安であり、実際には配合や硬度によって物性は大きく変化します。
同じSBRでも性能がここまで違う!配合と硬度の影響
ゴム材料は配合や硬度によって物性が大きく変化します。時には材質よりも硬度違いの方が影響が大きい場合もあります。
ここでは、当社でよく使用している以下4種類のゴム材料で性能を比較してみました(試験条件:常温、n=5、平均値)。
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SBR93°
硬度:93°±5°
引張強さ:13.9MPa
伸び:308%
引裂き強さ:33.4kN/m -
難燃SBR70°
硬度:70°±5°
引張強さ:12.1MPa
伸び:710%
引裂き強さ:56.5kN/m -
EPDM40°
硬度:40°±5°
引張強さ:12.0MPa
伸び:717%
引裂き強さ:21.6kN/m -
SBR30°
硬度:30°±5°
引張強さ:7.3MPa
伸び:680%
引裂き強さ:23.7kN/m
注目の材料:難燃SBR70°の高性能設計
難燃SBR70°は難燃剤や耐候性添加剤を多く配合しながら、機械的物性も非常に高い水準を保っています。
一般的に難燃剤を加えると性能が落ちることが多いですが、当社では引張強さ・伸び・引裂き強さのすべてで高水準を実現しています。
中国製EPDMがすぐ劣化する理由
一部の中国製EPDMが数年で劣化する原因は、可塑剤や増量剤の過剰添加にあります。
当社で調査した製品では、実際にはEPDMが40%、NRが60%の配合比率で、ゴム分が非常に少なく、多量の可塑剤が使われていました。
これでは本来の耐候性は期待できません。
「良いゴム材料」の目安とは?
引張強さの目安
- 12MPa以上:かなり良い
- 10~12MPa:良い
- 7~10MPa:普通
- 7MPa未満:物性が劣る
伸びの傾向
伸びは硬度に大きく依存します。柔らかいほど良く伸び、硬いほど伸びが少なくなる傾向です。
引裂き強さの考察
天然ゴムは元々高く、SBRは補強材によって高めやすい性質があります。
一方、EPDMは補強材との相性が比較的低いため、大きな改善は難しいとされています。
まとめ:配合設計こそが性能を決める
同じEPDMやSBRでも、配合設計や硬度調整によりまったく異なる物性を実現できます。
用途に合わせて、最適な設計をご提案できるのが当社の強みです。
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ご要望や用途に合わせた最適なゴム配合をご提案いたします。
「どの材質を選べば良いか分からない」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。
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