いつもお世話になっております。共和ゴムの寺阪です。
先週11/2~11/3の2日間で、慰安旅行に行ってました。
横浜・中華街→鎌倉観光→ディズニーランドというコースでした。
総勢39名で参加し、とても楽しい濃厚な2日間を過ごさせていただきました。
ゴムの低温特性について
さて本題に入ります!
本日は『ゴムの低温特性について』書かせていただきます。
耐寒性の良いゴムとは?
一般的に低温で分子運動が活発で、硬さと反発弾性および引張応力の変化が小さいゴムが耐寒性に優れるゴムです。
耐寒性が良いゴムとは?
シリコーンゴム、ブチルゴム、EPDMが挙げられます。
なぜゴムは低温で硬くなるのか?
低温環境においてゴムがガラス状態に変化することで弾性を無くしてしまう。
ゴム材質は、分子内部の原子間運動と、分子鎖構造がなす自由回転運動の2つによってゴム特有の弾性を発揮していますが、低温になると分子内部の原子間運動が硬くなっていき、また分子鎖構造がなす自由回転運動も低温下によってこの運動が鈍くなることで極端に低下します。このような分子構造によってゴムは低温下では硬度が硬くなり、ゴム特有の弾性もなくなり、プラスチックのように硬くなってしまう。
耐寒性の良いゴムにするためには?
ゴムの耐寒性は、ゴム材質によりほぼ決まります。
耐寒性に一番優れたゴムは、シリコンゴムです。
次に良いのが、EPDM(EPT)です。
この2つを選定しておけば、まず間違いありません!
耐油性に優れており、工業用ゴム製品・産業用ゴム製品として使われることが多いNBRも耐寒性は良いほうです。
同じゴム材質でも耐寒性に優れるグレードがあります。
◆EPDMではエチレン量の低いポリマーを選定する
◆NBRではアクリロニトリル量の低いポリマーを選定する
◆ガラス転移温度(Tg)の低いポリマーを選定する
配合によって耐寒性を良くするために行われる方法としてメジャーなのは、耐寒性可塑剤への切り替えです。
どうしても耐寒性の悪いポリマーを使わざるを得ない場合は、この方法は効果がちゃんと見込めるのでお薦めです。
ゴムは配合する上で「可塑剤」という油を添加します。
可塑剤には大きく分けてアロマ系、ナフテン系、パラフィン系の3つに分かれております。
◆毒性については、アロマ系>ナフテン系>パラフィン系
◆透明性については、アロマ系<ナフテン系<パラフィン系
◆耐寒性については、アロマ系<ナフテン系<パラフィン系
となっております。
よって可塑剤をパラフィン系やナフテン系に切り替え、またできるだけ耐寒性の高いグレードにすれば耐寒性をUPさせることができます。
但しゴムのベースポリマーによっては、パラフィン系可塑剤との相溶性が低く、うまく混ぜられない場合もありますので、ベースポリマーと可塑剤の相溶性にも注意が必要です。
また可塑剤の変更だけで改良できる耐寒性はせいぜい10度くらいです。
(可塑剤の添加量などにもよりますが・・・)
どのくらいの耐寒性があるの?
低温衝撃脆化(ぜいか)試験という試験があります。
低温衝撃脆化試験は、JIS規格(JIS K6261)が定める低温時に於ける衝撃破壊による評価方法です。試験片を所定の温度に冷却した上でハンマーなどの打撃具によって衝撃を与え、試験片に生じる破壊(亀裂)の状況と温度の関係を調べて評価を行います。
弾性回復の確認には低温弾性回復試験(TR試験)の方がより信頼性が高いと言われております。
この低温衝撃脆化試験で、当社EPDM50度で測定したところ、
衝撃脆化温度は、-49度でした。
推測ですが、シリコンゴムなら-80度以下だと思います。
この「脆化温度」とは、ゴムやプラスチックが低温化によって硬く脆くなるので、どのくらい低温になっても、その対象となるゴムやプラスチックが壊れないか(物理的衝撃に耐えられるか)を示します。