共和ゴム株式会社

スタッフコラムstaff column

ゴムの歴史:発見から現代までの進化

1. ゴムの起源と発見

ゴムの歴史は、数千年前の南米大陸にさかのぼります。古代マヤ文明やアステカ文明では、すでに天然ゴムが利用されていました。
マヤ文明では、天然ゴム製のボールを使った「ポクタポク」という球技が行われていました。
また、アステカ文明ではゴムを防水材として活用し、衣服や靴をコーティングする技術を持っていました。

1493年、コロンブスが南米を訪れた際、現地の人々がゴムボールを使って遊んでいるのを目撃し、ヨーロッパへ紹介しました。

2. 近代のゴム産業の発展

①天然ゴムの工業化

18世紀に入って、フランスの科学者シャルル・マリー・ド・ラ・コンダミンが南米アマゾン川流域でゴムの採取方法を学び、ヨーロッパに持ち帰りました。このとき、ヨーロッパでは、ゴムの特性に注目し始めます。
ゴムは柔軟性があり、防水性に優れていましたが、温度によって性質が変わるため、寒くて硬くなり、暑くてベタつくという欠点がありました。そのため、初期の利用は限定的でした。
18世紀後半、ゴムは鉛筆の字を消すゴム(消しゴム)として使われるようになりました。英語の「rubber(ゴム)」という言葉は、「ru​​b(こする)」が由来です。

– 1770年:イギリスの科学者ジョゼフ・プリーストリーがゴムの消しゴムとしての用途を発見。
– 1823年:チャールズ・マッキントッシュがゴムを用いた防水布を開発。
– 1834年:アメリカのトーマス・ハンコックがゴムの加工技術を発展させる。

② 加硫ゴムの発明(1839年)

ゴムの最大の問題であった温度による性質の変化を解決したのが、アメリカの発明家チャールズ・グッドイヤー(Charles Goodyear)です。
1839年、グッドイヤーは偶然、硫黄を混ぜたゴムを加熱すると、弾力性と耐久性が向上することを発見しました。この技術は「加硫(バルカナイズ)」と呼ばれ、現代のゴム産業の基盤となっています。

加硫とは、ゴムに硫黄を加えて加熱することで、耐熱性・耐久性・弾力性が向上させることを言います。
これにより、ゴムの実用化が加速し、工業製品へ幅広く利用されるようになりました。

③ ゴム産業の成長

19世紀後半になると、ゴムの需要が急速に拡大します。

– 自転車用ゴムタイヤの登場(1888年、ジョン・ダンロップ)
– 自動車用ゴムタイヤの開発(1905年、ミシュラン)
– ドイツの化学者フリッツ・ホフマンが1909年に世界初の合成ゴム「ブタジエンゴム」を開発に成功。
– 1910年代には天然ゴムの大規模プランテーションが東南アジアで展開。

3. 合成ゴムの誕生と発展

① 第一次・第二次世界大戦とゴム不足

第二次世界大戦(1939~1945年)中、ゴムの需要が爆発的に増加しましたが、日本軍が東南アジア地域を占領したことで、アメリカは天然ゴムの供給が絶たれました。
この危機を受けて、アメリカは合成ゴム(石油由来)の開発が進みました。

– 1920年代にはアメリカのデュポン社がネオプレン(クロロプレンゴム)を発明。本格的な合成ゴム時代の始まり。
– 1930年代:ドイツのBASFがブタジエンゴム(SBR)を開発。
– 1940年代:アメリカが大量生産を開始し、戦後の自動車産業を支える重要な素材となる。
– 1945年以降:各国で合成ゴムの研究が活発化し、多種多様なゴムが登場。

② 合成ゴムの種類と用途

戦後、さまざまな合成ゴムが開発され、用途ごとに最適なゴムが選ばれるようになりました。

– NBR(ニトリルゴム):耐油性が高く、工業用パッキンやホースに使用。
– EPDM(エチレンプロピレンゴム):耐候性に優れ、自動車部品や建築材料に適用。
– シリコーンゴム:耐熱性・耐寒性に優れ、医療・食品業界で使用。
– CR(クロロプレンゴム):耐候性・耐油性があり、防護服や接着剤に活用。
– FKM(フッ素ゴム):耐薬品性・耐熱性が優れ、航空宇宙産業や医療機器に使用。

4. 現代のゴム産業と未来
現在、ゴムは「天然ゴム」と「合成ゴム」の両方が使われています。 天然ゴムは特にタイヤや医療製品などに重点を置いていますが、合成ゴムは耐油性や耐熱性が求められる製品(自動車部品・工業用ゴム)に広く利用されています。
合成ゴムの技術革新は進んでおり、さらなる高性能化が求められています。

今後未来のゴム技術は下記のように進化していくと言われています。

– ナノテクノロジーの導入:ゴム分子構造を精密に制御し、強度や弾性を向上。
– バイオベースゴムの開発:植物由来の材料(バイオカーボンなど)を使用し、環境負荷を軽減。
– リサイクル技術の発展:廃タイヤや廃ゴムを再利用し、持続可能なゴム産業を実現。
– 高機能ゴムの開発:電気伝導性や自己修復機能を持つ特殊ゴムの研究が進行中。
– 低環境負荷ゴム:CO₂排出を抑えた製造方法。
– AI技術の導入によるゴム配合の最適化。
– 3Dプリンターを用いたゴム製品の成形技術の進化。
– 宇宙開発向けの耐極限環境ゴムの研究開発。

共和ゴム株式会社でも、様々なゴム製品開発を進めており、低環境負荷かつ持続可能なゴム製品の提供に取り組んでいます。
開発に成功した際には、スタッフコラムにてご報告致します。
今後ともどうかよろしくお願い致します。

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