共和ゴム株式会社

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ゴムのプロが教える!配合設計で差がつく高性能ゴム材料の選定術

ゴム材料は「天然ゴム」や「EPDM」など材質名だけで選んでいませんか?

実は、配合設計や硬度の違いによって物性は大きく変わるのです。

本記事では、SBRやEPDMなどの代表的なゴムを実例比較しながら、高性能ゴム材料を選ぶための配合の考え方を、ゴムのプロが分かりやすく解説します。
よくゴム業界が出してる資料では、天然ゴム(NR)は機械的物性が「とても優れている」、カーボンブラックで補強しているSBRも「優れている」と書かれてることが多いと思います。
EPDMは、NRやSBRと比べて機械的物性は劣ると書かれてる場合が多いです。
引裂き強さに関しても、NRは◎、SBR〇、EPDMは△となってるケースが多いです。

この表記については、間違っているとは言いませんし、当社のホームページでの「原料ゴム特性」でもそのような表記になっております。

ただこの原料ゴム特性は目安として留めておくべきだと思います。

ゴム業界ではあたりまえ界が出してる資料では、天然ゴム(NR)は機械的物性が「とても優れている」、カーボンブラックで補強しているSBRも「優れている」と書かれてることが多いと思います。

EPDMは、NRやSBRと比べて機械的物性は劣ると書かれてる場合が多いです。

引裂き強さに関しても、NR◎、SBR〇、EPDM△となってるケースが多いです。

耐熱老化性に関しては、NR△、SBR〇、EPDM〇と記載されてます。

 

ゴム業界では当たり前のことですが、ゴムの配合によって物性値は雲泥の差が出てきます。
またゴム硬度によっても物性は大きく変わってきます。

場合によってはゴムの材質違いよりも、硬度違いの方が、物性の差が大きいのではないかとも思えます。

参考までに当社で良く使っているSBR93°、難燃SBR70°、EPDM40°、SBR30°の4種類のゴム材料で、
引張強さ、伸び、引裂き強さについて比較検証してみました。
(試験条件:常温、検査数はn=5、平均値を記載)

  • SBR93°
    硬度93°±5°
    引張強さ:13.9MPa
    伸び:308%
    引裂き強さ:33.4kN/m
  • 難燃SBR70°
    硬度70°±5°
    引張強さ:12.1MPa
    伸び:710%
    引裂き強さ:56.5kN/m
  • EPDM40°
    硬度40°±5°
    引張強さ:12.0MPa
    伸び:717%
    引裂き強さ:21.6kN/m
  • SBR30°
    硬度30°±5°
    引張強さ:7.3MPa
    伸び:680%
    引裂き強さ:23.7kN/m

この検査データを見ても分かるように、同じSBRでも配合違い、硬度違いで、引張強さ、伸び、引裂き強さには大きな差がでます。

この試験結果で一番注目なのが「難燃SBR70°」です。
難燃剤も添加されており、通常ならゴム以外の充填剤が増えてる分、物性が悪くなるのが普通ですが、
この「難燃SBR70°」は、難燃性も付与させながら、紫外線防止剤や耐オゾン添加剤などもたくさん添加しており耐候性もかなり良くしております。
それにも関わらず引張強さ、伸び、引裂き強さという機械的物性もかなり良くした配合設計をしております。

またSBR30°についても、30°という低硬度にも関わらず引裂き強さをUPさせているのが特長です。
また硬度30°というかなり低硬度にも関わらず引張強さは7.3MPaもあるのは特長です。

このように使用用途に合わせて自由に配合設計・硬度設計できるのがゴムの大きな特長です。

逆に可塑剤や増量剤などを多く添加し、ゴム分を少なくしていくことで、同じEPDM40°でも安価な配合設計も可能です。
当然ながら物性は悪くなっていきますが・・・

中国など安い海外製のゴム材料が直ぐに劣化してしまうのは可塑剤や増量剤をたくさん添加してゴム分を少なくしているのが大きな原因です。

通常なら耐候性・耐オゾン性が抜群で屋外使用で良く使われているEPDMなのですが、
中国製EPDMが屋外使用数年間でかなり劣化したという事例もあります。

当社で調べたら、
なんとベースポリマーの配合がEPDM100%ではなく、EPDMが4割、NRが6割となってました。
NRのほうが多く配合されている上に、全体的なゴム分も少なく、大量の可塑剤・増量剤も添加されていたので、この配合なら劣化して当然と言えます。

一般的に見て、どのくらいの物性値が良いのか?、と聞かれることがあります。

引張強さに関しては、
12MPa以上あれば「かなり良い」、10MPa以上12MPa未満で「良い」、7MPa以上~10未満で「普通」、7MPa未満は「悪い」と言えるのではないでしょうか。

伸びに関しては、
ゴム材質や配合というよりも硬度に依存するケースが多いです。
硬度が硬いと伸びは悪くなり、硬度が柔らかいと伸びは良くなる傾向です。

引裂き強さに関しては、
天然ゴムは元々かなり良く、SBRはカーボンブラックなどの補強材との相性がとても良いので、その影響を受けやすいため、配合次第で調整可能です。
EPDMに関してはSBRほど補強材の影響は受けないため、配合次第で劇的に改善することは難しいです。

当社で標準的に使っているこの4種類のゴム材料については、当社が自信を持ってお薦めできるゴム材料(ゴム配合)となっております。
特にお薦めなのが「難燃SBR70°」で、次が「EPDM40°」です。

このようにゴムは色々な配合設計が可能ですので、気軽にご相談下さい。
何卒宜しくお願い致します。

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