共和ゴム株式会社

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新製品「絶雷ヤー」完成|コンクリート柱の雷&腐食対策キャップ

【新製品開発ストーリー】コンクリート柱を雷と腐食から守る──特殊キャップ「絶雷ヤー」が完成しました。

こんにちは。共和ゴム株式会社です。
この度、鉄道インフラ向けに開発した新製品 「絶雷ヤー」 が完成しました。
本コラムでは、

  • 開発の背景
  • 鉄道総研での実証試験結果
  • 製品の特長と性能
  • 展示会でのご案内

◆ コンクリート柱はなぜ劣化するのか?

鉄道設備やインフラ施設に設置されている直径約10cm・高さ約2mの小型コンクリート柱は、次のような環境要因によって劣化が進行します。

  • 雨水や湿気による浸水
  • 凍結・融解による表面劣化
  • 塩害地域での急速な腐食進行
  • 上面からの水分侵入による鉄筋腐食

特にコンクリート内部の鉄筋腐食は強度低下につながり、長寿命化の課題となっています。
この問題を解決するため、当社では高耐候性・高絶縁性を持つ保護キャップ「絶雷ヤー」を開発しました。


◆ 素材に込めたこだわり

「絶雷ヤー」に使用されているゴム素材は、当社独自の特殊配合により、耐紫外線性、耐オゾン性、耐塩害性を高水準で両立しています。また、電気的絶縁性能に優れており、万一の落雷時にも内部への影響を最小限に抑えます。柔軟性にも優れるため、施工時のなじみが良く、様々な柱形状にも対応可能です。


◆ 活用が期待されるインフラ分野

鉄道だけでなく、道路標識柱、街路灯、監視カメラポール、送電塔の基部など、同様の環境下にあるインフラ設備でも「絶雷ヤー」は有効です。すでに複数のインフラ管理者から導入検討の声をいただいており、今後さらなる展開が期待されています。


◆ メンテナンス軽減とコスト削減効果

従来の補修対策は手作業が多く、人的・金銭的負担が大きいのが課題でした。「絶雷ヤー」の導入により、腐食の進行を大幅に抑えられ、定期的な補修頻度の低減が期待できます。結果として、ライフサイクルコストの削減にも貢献することができます。


◆ 「絶雷ヤー」の特長と基本性能

「絶雷ヤー」は、ゴムのもつ絶縁性・柔軟性・耐候性を活かした劣化防止キャップです。

性能 概要
防水性 上面からの雨水侵入を防止し、内部鉄筋の腐食を抑制します。
耐候性 紫外線・塩害・寒冷地環境でも長期間性能を維持します。
絶縁性 特殊配合のゴムにより、落雷時の電流影響を大幅に低減します。
鳥害対策 円錐形状によりカラスや鳥類が止まりにくい設計です。

◆ 公的機関による耐久実証:鉄道総研(RTRI)での評価試験

絶雷ヤー」は、公益財団法人 鉄道総合技術研究所(鉄道総研 / RTRI)の協力のもと、
新潟県・勝木塩害実験所にて1年間の屋外暴露試験を実施しました。

《試験内容》

  • 暴露環境:日本海沿岸塩害地域(強腐食環境)
  • 試験方法:キャップ装着柱と未装着柱の比較試験
  • 評価期間:12ヶ月
  • 測定項目:鉄筋腐食、表面劣化、浸水状態、外観変化

コンクリート柱(キャップ無し) 鉄道総研暴露試験場にて
暴露試験前(絶雷ヤー未装着)
コンクリート柱(キャップ有り) 鉄道総研暴露試験場にて
暴露試験前(絶雷ヤー装着)
コンクリート柱上面(キャップ無し) 鉄道総研暴露試験場にて、暴露試験前
暴露試験前・上面(絶雷ヤー未装着)
コンクリート柱上面(キャップ有り) 鉄道総研暴露試験場にて、暴露試験前
暴露試験前・上面(絶雷ヤー装着)
コンクリート柱上面(キャップ無し) 鉄道総研暴露試験場にて、暴露試験半年後
暴露試験半年後・上面比較(絶雷ヤー未装着)
コンクリート柱上面(キャップ無し) 鉄道総研暴露試験場にて、暴露試験1年後
暴露試験1年後・上面比較(絶雷ヤー未装着)

▼ 試験結果(比較)

状態 半年後 1年後
キャップ無し 鉄筋に赤錆が明確に発生 腐食が進み鉄筋露出および劣化進行が顕著
絶雷ヤー装着 外観変化なし 鉄筋腐食・水分侵入ともに確認されず

→ 鉄道総研での検証により、「絶雷ヤー」がコンクリート柱の腐食防止に高い効果を持つことが確認されました。


◆ 雷サージ試験:30kV通電でも破損なし

落雷対策として30kV雷サージ試験も実施。

  • 破損・カーボナイズ(炭化)なし
  • 絶縁性維持
  • 形状変化なし

耐雷性と防錆性能を同時に持つ構造材として評価されています。


◆ 形状設計の理由:現場の声から生まれた円錐デザイン

  • 水溜まり防止(排水設計)
  • 電流逃げ構造(雷対策)
  • 鳥害抑制(鳥が止まりにくい)

現場のニーズを反映した設計となっています。


◆ 「絶雷ヤー」は鉄道技術展2025に出展します

(「絶雷ヤー」は、鉄道技術展2025に出展予定)

  • 展示会名:鉄道技術展2025
  • 会期:2025年11月26日(水)〜11月29日(土)
  • 会場:幕張メッセ
  • ブース番号:F-70

実物・試験データ・導入相談など、現場課題に沿ったご説明をいたします。


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インフラの安全性・耐久性向上に貢献する製品開発を今後も続けてまいります。

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