当社製品に「アンカーゴムキャップN」という製品があります。
ジャパンライフさんがドイツから輸入して国内販売を始めたという「Dリフトアンカー」があります。
コンクリート2次製品を簡単に吊り下げられる画期的なシステムです。
コンクリート2次製品に埋め込まれた「Dリフトアンカー」を、Dリフトカップラーで簡単に着脱でき、容易にコンクリート2次製品を吊り上げられます。
重量も1トンから22トンまで幅広く対応しております。
当初は国内初めて販売したのがジャパンライフさんでしたが、現在では競合メーカーが2社あります。
詳しいシェアについては、分かってませんが、色々とコンクリート2次製品メーカーさんに伺っていると、1位がジャパンライフさん、2位がコバックスさん、3位が太平洋マテリアルさんとなってるような感じです。
ただコバックスさんに勢いがあり、シェアを伸ばしているという話しもよく聞きます。
この吊り下げ用アンカーを、コンクリート2次製品に埋め込む際に、「フォーマ」と呼ばれる治具を型枠に取り付ける必要があります。
「フォーマ」には、4種類あります。
- ゴムフォーマ
- フリーフォーマ
- メタルフォーマ
- ウレタンフォーマ
当社に、コンクリート2次製品メーカーさんから開発依頼があり「アンカーゴムキャップN」を開発しました。
理由は3つありました。
アンカーが埋め込まれた半円状部分に水が溜まることによる弊害があるとのことでした。
- 溜まった水でアンカーを錆びさせたくない
- 寒冷地では溜まった水が凍って氷結してしまう
- 寒冷地で溜まった水に凍結防止剤を入れることがあるが、アンカーを錆びさせてしまう、色移りするという問題もある
この3つの理由から、ゴム製のしっかりしたキャップで嵌め込んで蓋をすることで、外部からの雨風の侵入を防ぎたいとのこと。
IPX7という高い水密性をクリアーしております。
IPX7とは、
「IPX7」はJIS C 0920 (IEC 60529)で、下記のようにテスト基準が定められています。
IPX7の基準
- 深さ1メートルの水に30分間沈めても浸水しない
- 一定の水圧に耐えられるが、水中での長時間使用には適していない
ただ当社に依頼をしてきたコンクリート2次製品メーカーさんはジャパンライフ製のDリフトアンカーを使ってましたので、
それに合わせて開発をしたのですが、同じジャパンライフ製でもゴムフォーマ、メタルフォーマ、ウレタンフォーマで若干寸法が違ってました・・・当初は同じ寸法だと聞いていたのですが・・・・
高い水密性を求めるなら、この若干違う寸法全てに対応しなければなりませんので、開発をまたイチからやり直しました。
ジャパンライフ製Dリフトアンカー、コバックス製DHLアンカー、太平洋マテリアル製dehaアンカーの3製品にも対応させ、かつ各社の各フォーマにも全て対応させることにチャレンジしました。
そこで思いついたのがV溝構造でした。
V溝の外径、V溝深さ、肉厚、V溝長さ、ゴムパッキンの高さなど、様々な組み合わせを考え、3Dプリンターで試作を行い、嵌め込み検証を行い、形状・寸法などを絞っていき、試作金型を製作しました。
試作金型をわざわざ作ったのは、水密性試験を行うためには、ちゃんとしたゴム材質で試作品を作り、当社にある外水圧試験機で水密性試験をしないといけないからです。
このような試行錯誤を繰り返し、やっと開発したのが「アンカーゴムキャップN」です。
「アンカーゴムキャップ」という名称でも良かったのですが、色々と試行錯誤を繰り返したのが当社設計の中村なので、中村のイニシャルである「N」を製品名に敢えて付けました・・・笑
製品名に記念にイニシャルを入れることで、少しでも当社設計の中村の苦労に報いることができれば幸いです。笑