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ゴム製品を支える添加剤の秘密:その役割と種類を徹底解説

ゴム製品の品質や機能を向上させるために欠かせないのが「添加剤」です。適切な添加剤を選択・配合することで、強度、耐久性、加工性などの特性が大きく左右されます。この記事では、ゴムに使用される添加剤の役割や種類について整理して詳しく解説していきます。

1. 添加剤の役割
添加剤は、ゴムの物性や耐久性、加工性を向上させるために配合される化学物質です。主な役割として以下が挙げられます。

強度・耐摩耗性の向上:引張強度や耐久性を高め、摩耗しにくくさせる。
耐熱性の向上:高温環境下での安定性を確保する。
加工性の改善:ゴムの柔軟性を高め、成形や混合練をより効率化し、コストダウンさせる。
耐候性の向上:紫外線や酸素、オゾンによる劣化を防ぐ。
難燃性の付与:燃焼を抑制し、安全性を向上させる。

2. 主な添加剤の種類とその特徴
(1) フィラ(補強剤・非補強剤)
ゴムの強度や硬度を向上させる添加剤で、補強目的とコスト調整目的のものに分かれます。

補強剤
カーボンブラック:耐摩耗性向上、紫外線吸収に優れた収益になる。
シリカ:透明性があり、黒色以外の色に適応可能。カーボンブラックより取り扱いは少し難しい。

非補強剤(コスト削減や特定の物性調整)
炭酸カルシウム:成形性を調整し、コストダウンを可能にする。
タルク:滑り性と加工性を向上させる。

(2) 可塑(かそ)剤
ゴムの柔軟性を高め、加工をスムーズにする役割を持ちます。

フタル酸系(DOP、DBP):一般的な可塑剤で柔軟性向上させる。
リン酸系:耐熱性と難燃性を与える。
エポキシ化油樹脂:環境に優しく高性能な可塑剤として、環境対応型として世界的に注目されている。

(3) 加硫剤・加硫促進剤
ゴムの弾性と強度を向上させるための架橋結合を促進する添加剤。

加硫剤(硫黄が主成分):ゴム分子を結合させ、弾性を向上させることが出来る。硫黄成分を使用する事がほとんどだが、金属の腐食などを極力抑える為に、硫黄を使用しない有機過酸化物(パーオキサイド)加硫も存在する。
加硫促進剤(チアゾール系、グアニジン系):加硫反応を加速させ、品質を向上させることが出来る。

(4)老化防止剤
紫外線や酸素、オゾンによる劣化を防ぐ添加剤です。耐候性向上を目的に使用されています。

ワックス系:ゴムの表面に拡散して保護膜を形成し、オゾンや紫外線から劣化を防ぐ。車のタイヤに使用されることが多い。
アミン系:酸化防止とオゾン防止の両方に効果を発揮する為、車のタイヤなどに使用されることが多い。
フェノール系:黄変しやすい為、透明ゴム製品には不向きだが、特に高温環境での耐久性が高く、高い酸化防止性能を持つ。

※車のタイヤにはNRやSBRというコストパフォーマンスに優れたゴム材料が使用されていますが、これらは本来は耐候性はよくありません。車のタイヤにはワックス系とアミン系の両方の老化防止剤が使用されており、ワックス系とアミン系をバランスよく配合することで、どのような環境でもタイヤが長期間、使用出来る様に設計されています。

(5) 難燃剤
火災時の燃焼を抑制し、安全性を高めるための添加剤です。

ハロゲン系:高い難燃効果とコストパフォーマンスを持つ。環境負荷が高い事が指摘され、世界的には使用されにくくなってきている。
リン系:環境負荷が低く、世界的にはハロゲン系からリン系へと切り替えがされつつあるが、添加量を多くしなければならず、ゴムの機械特性や価格に影響が出ることが懸念されている。

(6)発泡剤
ゴムの軽量化とクッション性を向上させる添加剤。ゴムスポンジを製造する上で必要。

物理発泡剤:窒素や二酸化炭素などのガスを加圧注入し、均一な気泡を形成する。
化学発泡剤:化学反応によりガスを発生し、気泡を生成する。一般的なゴムスポンジには化学発泡材が使用されている。

(7) 着色剤
ゴムの外観を調整し、用途に応じた色付けを可能にします。先述の通り、カラーゴムの補強剤にはシリカが使用されている事が多いです。

有機顔料:発色が良いが、耐候性・耐熱性が低い。
無機顔料:発色がやや劣るが、耐候性・耐熱性が高く、価格が安い為、工業用ゴムに数多く使用される(酸化チタン、酸化鉄など)。

3. まとめ
ゴム製品の性能は、適切な添加剤の選択・配合によって大きく左右されます。強度・耐久性・加工性・耐候性・難燃性など、求められる特性に応じた添加剤を活用することで、ゴム製品の機能を最大限に引き出すことが可能です。環境負荷を考慮した添加剤の開発も進んでおり、持続可能な素材開発への取り組みが求められています。

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