共和ゴム株式会社

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共和ゴムで多く採用されている材料の耐油性及び耐薬品(トルエン・MEK)特性

平素より大変お世話になっております。
共和ゴム(株)で工場長を務めてさせて頂いております松本です。
今回は前回の「ゴムの配合と性質について」に続いて弊社使用材料の耐油特性の続きと有機溶剤トルエン及びMEKの浸せき試験を実施しましたのでご紹介致します。

<耐油性>

思った以上に変化が少なかったのでかなりの時間を開けての測定となりました。

今回のオイル浸せき試験で体積変化率のランキングが以下となりました。
ワースト3

順位 製品名 体積変化率
1位 EP30 173%
2位 EP60白 163%
3位 EP60 161%

トップ3

順位 製品名 体積変化率
1位 SBR90 103%
2位 SBR70 111%
3位 SBR30 85%

おや?と思われたそこの貴方はかなりゴムについてお詳しい方とお見受け致します。
小生も耐油性が良いのはNBRでは?と疑問に思い体積変化率データを分析すると70日目の体積変化が少なくその後114日目の変化が少ないのがNBR70となり全く変化しない訳ではないが変化が一番少ないのがNBRでした。

また、反対にSBRが膨張(オイル吸収>成分放出)してから収縮(オイル吸収<成分放出)の変化が多いのが上記トップ3の材料で70日目→114日目の変化が50%程変化しております。

<耐薬品性・トルエン>

浸せき試験開始3日目まではどの材料もゴム材もトルエンを吸収して膨張しましたが4日目からゴム内の成分がトルエンに放出量が吸収を上回った(放出<吸収)為なのか痩せてしまったが、その後は放出>吸収となり?少しずつ膨張する傾向にある様です。


今回のトルエン浸せき試験で体積変化率のランキングが以下となりました。
ワースト3

順位 製品名 体積変化率
1位 EP60白 607%
2位 SBR50 416%
3位 SBR70 396%

トップ3

順位 製品名 体積変化率
1位 EP30 233%
2位 NBR70 239%
3位 EP60 241%

EP60白については触り心地も最高で美味しそうなはんぺんの様になりました。

EP30がトップ1位に入っているが結果体積が2倍以上になっており決して耐トルエンに強いとは言い難い結果となりました。

<耐薬品性・メチルエチルケトン>

トルエン同様に浸せき試験開始3日目まではどのゴム材もMEKを吸収して膨張してる様でその後一度ガックと収縮してしまいました。
MEKについてはその後は放出≒吸収か放出・吸収≒0吸収なのか測定誤差も相まって小幅な体積変化となりました。

今回のMEK浸せき試験で体積変化率のランキングが以下となりました。
ワースト3

順位 製品名 体積変化率
1位 NBR70 364%
2位 Si50 261%
3位 SBR70 217%

トップ3

順位 製品名 体積変化率
1位 EP30 112%
2位 SBR30 127%
3位 EP60 136%

今でこそ環境面やコストを考慮してあまり行わなくなったが、昔はNBRの加硫接着した芯金を再生する際にゴム付の芯金をMEKに浸して数日するとふやけて芯金とゴムを分離し易くなり芯金を再利用しておりましが改めてNBRがMEKに耐して膨張し易い事が分りました。

MEKの体積変化の少ないトップ1位がEP30となっており耐油性は低いがMEKに対してそこそこ強い事が証明されました。

<最後に>

今回の試験により×△〇◎では分からないレベルでのゴムの耐油性や耐薬品性の知識を深める事ができました。
ただ今回の試験方法は容器(上の写真)に対象の液(オイル、トルエン、MEK)を入れその中にテストピースを浸せきさせ膨張させております、別の容器に水を溢れるまで注ぎその中に膨張したテストピースを沈めると容器から水が溢れ出し水の重量が変わるのを利用した試験方法で行っため溢れ出た水が容器の外周部に水滴として残ったり、また水に沈んだテストピースをピンセットで取り出す際にもほんの少し容器から水が溢れ出し、更に水の表面張力によって水が溢れ出したりしなかったりでバラツキが多かったのではないかと考えます。

しかし共和ゴムでは失敗を恐れずに様々な事にトライしてみる社風があり、仕事を通して自分のスキルや知見を増やすことができる会社だと改めて感じました。

お問い合せなど、ございましたらお気軽にご連絡ください。
引き続きよろしくお願いいたします。

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