共和ゴム株式会社

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工場長が詳細に解説!ゴムの配合と性質について知っておくべきこと:耐油性から耐熱性まで

平素より大変お世話になっております。共和ゴム(株)の工場長を務めております松本です。
今回は、ゴム製品の性能を決定づける重要な要素であるゴムの配合について、その秘密と実際の製品開発での応用をお話しします。

ゴムの基本構造と配合の秘密
ゴムは、多様な機能を持つ複数の配合剤を練り込んだコンパウンド(混合物)を3次元的に分子結合(架橋)させたものです。主原料のゴムの他、加硫剤(架橋剤)、加硫促進剤、加硫促進助剤、スコーチ防止剤、老化防止剤、軟化剤、補強材、充填剤、難燃剤など、10種類以上の原材料から成る門外不出のレシピで構成されていることも少なくありません。

これら複数種類の原材料を絶妙な組み合わせなくしてお客様のニーズにあった優れたゴム製品をつくる事はできません。

ゴム材料の特性をまとめた一覧表

ゴム材料の耐油性・耐溶剤性・耐薬品性をまとめた一覧表

工業用のパッキンなどのゴム製品には耐熱性、耐油性が重要な物性として求められることがあり、ゴム材料の耐熱性と耐油性の特性を下記の表にまとめておきます。

実際に耐油性を調べて見た

実際に普段生産に使用しているゴムが機械用潤滑油(マシンオイル ISOVG46 作業油46)に対してどの程度の耐油特性があるのかあるのか?と問われると明確に回答する事は難しいのではなかろうか?そこでいくつかの材料のテストピースを成形して浸せき試験をしてみました。

EPDM、SBR、NBR、シリコンを常温で4月中旬に浸せきさせ3週間程経過するが全く膨張している様子がなく引き続き実験を続けようと思います。潤滑油の次はトルエンやMEKの実験もして見ようと思うのでまた別の機会にレポートさせて頂こうと思います。

ゴム配合薬品

また、今回はゴム配合薬品についても簡単にご説明させていただきす。

・加硫剤(架橋剤)
コンパウンドに硫黄などを加え加熱する事で塑性変形が減少し、弾性や引張り強さなどゴムの特性を付与します。
よく使う薬品:硫黄、有機過酸化物

・加硫促進剤
ゴムの架橋反応で加硫剤とゴム分子の反応を促進して架橋鎖の形成を助け、ゴム加硫時間の短縮や加硫温度の低下など生産性の向上と物理的・化学的性質を向上させる働きがあります。
よく使う薬品:有機系が主流でチアゾール系、スルフェンアミド系、チウラム系

・加硫促進助剤
加硫促進剤を活性化し、促進反応をさらに増大させる有機系と無機系の薬品がある
よく使う薬品:有機系ではステアリン酸、無機系では酸化亜鉛

・スコーチ防止剤
スコーチ防止剤は焼け防止剤又は加硫遅延材ともいわれゴムに少量添加し自然加硫(スコーチ)を防止する薬品
よく使う薬品:リターダー

・老化防止剤
ゴム製品の熱、酸素、オゾン、光、金属イオン、動力疲労などによる劣化を遅延させる薬品
よく使う薬品:p-フェニレンジアミン系

・可塑剤(軟化剤)
可塑剤はポリマーを柔らく可塑性を付与し配合剤の混合、分散を助け圧延、押出しなどの成形し易くし成形後のゴムを硬度を引き下げ伸び易い物性を付与する。
よく使う薬品:パラフィンオイル(EPDM)、フタル酸エステル(NBR)

・補強剤
ゴムに配合して加硫物の硬さ、引張強さ、引裂き強さ、モジュラス、反発弾性、耐摩耗性などの物性を向上させ、また導電性、絶縁性を付与することが出来る
よく使う薬品:カーボンブラック、ホワイトカーボン(シリカ)

・充填剤
ゴムコンパウンドの容積を増やし主に材料コストを引き下げる為に使用し、また加工性の改善にもなる
よく使う薬品:炭酸カルシウム

・難燃剤
炭化水素からなるゴムは有機物で燃え易い性質をもっているが難燃剤を添加する事で難燃性を向上させる働きがある。
よく使う薬品:水酸化アルミニウム

弊社ではお客様のニーズに合うゴム材料を選定または開発することが可能です。

今後も引き続き、ご満足頂けるゴム製品を作ってまいります。

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