共和ゴム株式会社

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プラスチックの歴史と進化 〜身近な素材の誕生から最先端材料まで〜

🔹1. プラスチックのはじまり:天然素材からの代替品として

プラスチックの歴史は、19世紀半ばのアメリカにまでさかのぼります。
1856年頃、ビリヤードの玉に象牙を使っていた当時、その代替品として登場したのがセルロイドと呼ばれ、これは「世界初の人工プラスチック」とされています。
その後、1907年にはベルギー系アメリカ人のレオ・ベークランドによって、初の完全合成プラスチック「ベークライト(フェノール樹脂)」が発明されました。
これにより「プラスチック時代」の幕開けとなりました。

🔹2. 第二次世界大戦とともに進化した「汎用プラスチック」

1930年代〜1940年代、世界は第二次世界大戦へ。金属や天然資源が不足する中、軽くて成形しやすいプラスチックは軍需や生活資材として急速に普及しました。
この時代に登場したのが、現在でもおなじみの汎用プラスチックたちです。
これらは「汎用樹脂」とも呼ばれ、現在も幅広い分野で使用されています。

🧱 汎用プラスチック(汎用樹脂)

材料名(略号) 誕生時期 特徴・用途例
ポリエチレン
(PE)
1930年代 軽量で耐水性◎。
レジ袋、タンク、配管など
ポリプロピレン
(PP)
1950年代 耐熱性◎、剛性・耐薬品性◎。
家電部品、食品容器、文具など
ポリスチレン
(PS)
1930年代 成形性が良く安価。
トレー、カップ、梱包材など
ポリ塩化ビニル
(PVC)
1930年代 耐薬品性・難燃性◎。
水道管、床材、ホースなど
アクリル
(PMMA)
1930年代 透明性が高くガラス代替に。
看板、照明カバー、水槽など

🔹3. エンジニアリングプラスチックの登場:金属代替へ

1960年代以降、より高機能で高強度な樹脂へのニーズが高まり、金属の代替材料として登場したのが「エンジニアリングプラスチック(エンプラ)」です。
これらは高温環境や機械的負荷の大きい部品に使われ、金属の代替材料として産業を支えています。

🔧 エンジニアリングプラスチック(エンプラ)

材料名(略号) 誕生時期 特徴・用途例
ポリアミド
(PA / ナイロン)
1930年代 高強度・耐摩耗性。
ギア、ベアリング、車載部品など
ポリアセタール
(POM)
1950年代 寸法安定性◎、耐疲労性◎。
精密機械部品、コネクタ、歯車
ポリカーボネート
(PC)
1950年代 耐衝撃性・透明性◎。
光学レンズ、電子機器、建材
ポリブチレンテレフタレート
(PBT)
1970年代 電気絶縁性◎。
家電コネクタ、自動車内装部品
ポリフェニレンオキシド
(PPO)
1960年代 電気特性・難燃性◎。
電気電子部品、OA機器

🔹4. スーパーエンプラやバイオプラスチックの時代へ

現在ではさらに高機能なスーパーエンプラや、持続可能性を意識したバイオプラスチックの研究・実用化が進んでいます。
スーパーエンプラは、精密電子部品、航空宇宙、医療分野で活躍しており、
バイオプラスチックは、環境配慮型製品や包装材に使用されています。

🚀 スーパーエンジニアリングプラスチック(スーパーエンプラ)

材料名(略号) 誕生時期 特徴・用途例
ポリエーテルエーテルケトン
(PEEK)
1980年代 耐熱性・耐薬品性・機械特性◎。
医療機器、航空機部品
ポリフェニレンサルファイド
(PPS)
1970年代 耐熱性・寸法安定性◎。
自動車部品、電子部品
液晶ポリマー
(LCP)
1980年代 超高流動性・高周波特性◎。
スマホ、5Gアンテナ部品
ポリイミド
(PI)
1960年代 超耐熱(300℃超)・断熱性◎。
宇宙・電子機器の絶縁材料
ポリスルホン
(PSU)
1960年代 耐熱・耐薬品性◎。
医療機器、熱水用配管

🌱 バイオプラスチック(再生可能資源由来または生分解性)

材料名(略号) 誕生時期 特徴・用途例
ポリ乳酸
(PLA)
1990年代 生分解性◎。
食品容器、農業フィルム、3Dプリンタ用樹脂
バイオPE
(植物由来ポリエチレン)
2000年代 再生可能資源由来。
洗剤ボトル、包装材
バイオPET 2010年代 植物由来PET。
飲料ボトル、繊維。石油由来PETと性能同等
セルロースアセテート 1900年代初頭 半合成樹脂。
眼鏡フレーム、フィルター材、自然由来素材
PHA
(ポリヒドロキシアルカノエート)
1990年代 微生物由来の生分解性樹脂。
農業・海洋環境製品で注目

まとめ:プラスチックは「進化」する素材

プラスチックは、その時代のニーズに応じて進化し、私たちの生活と産業を支え続けてきました。
今後も、脱炭素やサステナビリティへの対応が求められる中で、さらに進化した「次世代プラスチック」の登場が期待されています。

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