共和ゴム株式会社

スタッフコラムstaff column

ゴム配合薬品、今回は加硫剤を少し掘り下げます。

平素より大変お世話になっております。
共和ゴム(株)で工場長を務めてさせて頂いております松本です。

以前ゴムの配合薬品について少しお話させて頂きましたが、今回は加硫剤(架橋剤)について少し掘り下げようと思います。

弊社のゴム製品は殆ど硫黄を使用しており一部に有機過酸化物(パーオキサイド)を使用して加硫をしており先日、スタッフにどうしてパーオキ加硫は裂け易くて成形が難しいのかと聞かれて今回のコラムにしようと思った次第です。

パーオキサイド加硫はなぜ裂け易いのか?

パーオキサイド加硫では、ゴム分子が[炭素C-炭素C]が強固に直接結合します。この結合は比較的硬い構造を生み出しますが逆に引っ張りや圧力に対する柔軟性が失われ易くなります。

硫黄加硫はどんな結合なの?

硫黄加硫では、ゴム分子間に硫黄Sを介した結合[炭素C-硫黄S-炭素C]で形成されます。この硫黄架橋は柔軟性が高く、ゴム特有の弾力性や耐疲労性を向上させます。そのため、硫黄加硫の方が一般的に機械的特性、特に引張強度や伸び率などに優れます。

硫黄とパーオキサイドのメリットとデメリット

硫黄加硫とパーオキサイドのメリットとデメリットを次の表にまとめてみました。

パーオキサイド加硫はなぜ成形し難くなるの?

要因は加硫曲線図(キュラスト)を見ると違いが分かります。
下記のEPDM硬さ60度のパーオキサイド加硫と硫黄加硫の加硫曲線図をご覧下さい。

その前に加硫曲線図の見方を解説させて頂きます。

キュラストメーターの原理


動画で下側を左右にねじっている時間を上記の加硫曲線図のX軸で、弾性が生まれ押し戻そうとする応力がY軸となります。硫黄加硫の加硫曲線はスタートから2.5分(T10)くらいまでトルクが5kgf・cm以下で推移しておりますがこの状態はほぼ粘土状でゴム材の流動性が良く金型キャビティーに充填し易いです。3~8分(T90)まで徐々に右肩上がりの曲線になりますがここで加硫(架橋)が進みゴムに弾性(押し戻す力)が発生しゴムらしくなって行きます。

以前、弊社寺阪が「ゴム成形現場には欠かせれない『キュラストメーター(ゴム加硫試験機)』とは?」のスタッフコラムを出しておりますのでそちらも参考にして頂ければと存じます。

パーオキサイド加硫が成形難易度を上げる要因

・硫黄の加硫曲線と比較すると早々に右肩上がりとなり架橋がすぐに進んで行く(充填し難い)
・パーオキの加硫曲線は絶えず右肩上がりで上昇するほど裂け易く薄い製品は注意が必要です。
・裂け易くなる前に低い所で脱型すると製品が型に貼り付くので形状によって脱型が難しい
・複数の製品を成形しながら「貼り付かず」&「裂け難い」状態の時間や温度が調整が難しい

弊社ではお客様のニーズに合うゴム材料を選定または開発することを得意としております。
今後も引き続き、ご満足頂けるゴム製品を作ってまいります。
また、スタッフの疑問や問合せの多い質問などをコラムに上げて行こうと思います。

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